あんステMLの感想(井澤奏汰と佐伯千秋のこと)

行く気満々で3公演チケット取ってたんですけど、兵庫公演が中止になってしまいました。この公演のシリアルコードのために円盤積んでたんで倍ショック。いうて比較的安価なファンディスクなので傷は浅いはずや・・・と予防性は張りながら積んでてもいざ何の意味もなかったことを突き付けられると惨めったらしく恨みとか悲壮が漏れてしまうねん。。。辛~~~。

悔しくて虚無感でいっぱいなんですけど、原作でも思い入れのある話だし初日の配信があまりのも良かったので、ちょっとだけ文章に残しておきます

主に役者さんについてです。思い入れが強すぎてストーリーにまで触れだすと終わりが見えないので、それこそ万文字綴ってしまいそうなので・・・(やめなさいよ)

初演から通ってたヲタクはじめての欠席です。悲しい。

 

 

 

www.youtube.com



今回は、あんスタのイベスト最長ストーリー「追憶*流星の篝火」(以下、篝火)一本。
千秋がヒーローになるまで、奏汰が流星ブルーになるまでの物語を、奏汰を通して1年生に回顧録として見せるもので、今までより原作準拠の舞台だった。

クロスロードからの海賊フェスの一貫性のなさと落としどころが行方不明だったDxRを思うと、追憶の出来事から現在の流星隊に至るまで一本道で描いたMLは非常に見やすかった。

 

流星隊は5人中3人がキャス変。コロナで一度延期になったことやキャストさんのスケジュールとの兼ね合いなど諸般の事情があるので今回については仕方ないと物分かりの良いフリして諦念するも「仕方ない」を連呼するしかないこの状況が嫌すぎる。

しかし、キャス変自体は決して悪いものではなく、その人が演じないと見ることができないキャラクターの魅力というものがあって、「かみさま」と人間の境界を彷徨う奏汰を演じたのが井澤くんで良かったと思いました。

別に歴代の方がダメというわけではないんです。分かりやすいのだと前山さんの英智はトリスタに立ちはだかる巨大な権力として相応しいし、今この時に命を燃やしすぎて消えてしまいそうな儚さは笹森英智だからこそ表現できる。複数の役者さんが演じられることで、たった一人のキャラクターの多様性を広げるので、そこはゲームやアニメではなかなか味わえない魅力やなぁって思うわけです。

テニミュでしか見たことがない井澤くんですが、柔らかく度量が大きそうな印象が奏汰くんに合うよね、って観劇前は思っていて、実際その通りだったんですけど、ここまで透明感のある歌声の持ち主だと知らず驚嘆しました。

2幕終盤の海神戦で荒れ狂う観客を歌で慰撫するその姿が神事のような神聖さがあってそれを歌声で魅せてしまうのすごすぎる!

あのシーンはゲーム内でもスチル付で出ていて、作られたかみさま・奏汰くんの象徴的なもので、声のつかないゲームでは絵画として表現しています。舞台は映画のように場面をスクリーン上にピックアップして印象づけることができない分、絶対的に惹きつけるためには役者さんの力量が重要なんですけど、その瞬間は不純な感情を消して奏汰くんにばかり視線が向いてしまうんです。像でしか見てないですけど、少なくともわたしはあの場面は必ずオペラグラスを装着するんだと思います。

いつも笑顔でいるけども感情が伝わらない「かみさま」の奏汰くんから千秋と出会い人間特有の感情が生まれ困惑する姿、そして心からの笑顔を見せてヒーローに変身した姿。話の進度によって変化する感情の機微とそれを丁寧に演じる井澤さんの真摯さとライブのときの楽しそうな姿が、愛しさ以外ない。

「夢ノ咲流星隊歌」を歌い終わたった後、千秋と目と目で見つめ合い自然と手を取り、場外へ走り去っていく姿が、スローモーションのように見えて、青春の一番の輝きを観測してしまって、本当に有り難い・・いいもの見てしまった。生では見れなかったけど、同じ時間軸でその瞬間に立ち会えたことは本当に幸せだったな、と思います。

対戦相手の紅月は、あの二人だけの世界で幸せを振りまいたライブを見て毒気を抜かれたに違いない。試合に勝って勝負に負けたはず。

あの時は、千秋と奏汰こそがアイドルの真髄だよ。誰かを傷つける勝負の世界ではなく、自分の夢を叶えファンに幸せを与える姿がアイドルなんだよ。

あの戦争ばかりの暗黒時代の夢ノ咲でで傷だらけだった千秋と奏汰くんの夢が叶ったライブは本当に奇跡みたいな出来事で、それを舞台として具現化されることでより一層解像度が高まりました。最高だったな、海神戦

というわけでMLでは井澤奏汰への思慕がめちゃくちゃ積もっています。オペラグラス越しの自分だけのフィルターで鑑賞したかった・・・井澤奏汰!!!!

 

足掛け4年、守沢千秋を演じてきた佐伯亮さんにとってはMLは集大成となったのでないでしょうか。

佐伯さんはキービジュから守沢千秋オーラを完全に自分のものにしているんですけど、そこには計算とは一切なくて、単純に佐伯亮という役者のパーソナリティーと守沢千秋というキャラクター性が一致しているんです。つまりはまり役ってこと。

演じなくても自然体がそのキャラクターに寄り添える人はあんステでは佐伯さん以上にはいないと思います。

 

誰の発言かよく覚えていないんですけど、あんステキャストの方が「ステフェスで紅月とfineの卒業ライブを見て、ひとり仁王立ちして全身から体液出してんのかってくらい泣いてるやついたんだよね、佐伯亮っていうんだけど」

的なこと仰っていたんです。

私たちの課金で生まれたあんステでキャスト(小南光司のこと)があんスタに課金するという非の打ち所がない経済循環と並ぶくらい好きなエピソードです。

普通にゲーム内でも千秋のエピソードとして描かれそうな場面を佐伯亮が自然に生み出してしまうことが最高で、あんステでしか得ることのできない佐伯千秋の物語を感じることが2.5次元特有の面白さだと思いました。

 

その佐伯さんがMLの千秋を演じるのは感無量としか言えない。

そこにいたのはヒーロー然とした千秋ではなく、夢が叶わず打ちひしがれる平凡な人間でした。1幕丸々使って描かれた暗黒時代の千秋のシーンは長くて見ていてしんどさを感じました。特に佐伯千秋が自分の夢を壊されて絶望に涙する場面は直視しがたい辛さを伴います。

でも、あの時傷つけられた千秋だからこそ現在の何の臆面もなく正義を掲げるヒーローになった。今が幸せなんだからって辛い過去を正当化はしたくはないのですが、傷つけられた過去がある千秋だから傷つく人の気持ちに寄り添えるし、奏汰くんを救うヒーローになれたんだと、MLはそういう今の千秋につながる軌跡を辿る追憶なんだと感じました。

ずっと出ずっぱりで台詞量も多い中、一瞬も途切れることなる不安定な千秋の心情を表現した佐伯さんは素晴らしくて、でもそこには単純に演じているのではなくてこれまで千秋に寄り添ってきた思いとか佐伯さん自身の熱さも積まれていて胸が熱くなる。MLが見れる世界にいてよかった・・・。

 

MLは奏汰くんから1年生に語られた千秋の追憶です。1年生たちがその過去を咀嚼するシーンは詳細には描かれませんが、彼らはひとり部室掃除をする千秋の助けになるために千秋のもとに戻ったことが彼らなりの流星隊の在り方の答えで、千秋のこれまでの努力が報われた瞬間に守沢千秋という物語が1つの完成形を迎えたような気がしました。

それは佐伯千秋にも言えることで、佐伯千秋を中心としたあんステはじめましての演者さんによる1年生(忍くんは残留)と奏汰くんに囲まれる光景は新たな流星隊のあんステを予感しました。そして、そこから始まる5人のライブパート・・・ワーーーーーッ(嗚咽)

 

 

おわり

 

【追記】

東京凱旋&大千秋楽お疲れさまでした。神戸は中止になりましたが、無事走りきれたようで良かったです(海神戦で手をつないで走り去る二人を脳裏に浮かべながら合掌)(円盤とバクステ心待ちにしてます)